コロナ禍に始めたAirbnbホストから学ぶ新しいライフスタイルの楽しみ方

昨今、新しい働き方や暮らし方が柔軟になるにつれ、住み方、暮らし方、旅の仕方も変わってきています。住宅宿泊事業法の成立から3年が経ち、ホームシェアという新しいシェアの形も広がってきています。今回は、昨年のパンデミック以降にAirbnbでホスティングを始められたホストの皆さまをご紹介いたします。

昨今、新しい働き方や暮らし方が柔軟になるにつれ、住み方、暮らし方、旅の仕方も変わってきています。住宅宿泊事業法の成立から3年が経ち、ホームシェアという新しいシェアの形も広がってきています。今回は、昨年のパンデミック以降にAirbnbでホスティングを始められた3人のホストの皆さまをご紹介いたします。

Case 1

淡路島に移住し、10万円の空き家をセルフリノベーション。「誰もが見向きもしないものを宝物に変えたい!」元ファッションデザイナーが生み出す新たな作品と出会い。

Cheryl, Tomoya and Chestnutさん(兵庫県、淡路島)

時間を忘れて癒される。古民家セルフレノベーション宿

Photo_credit: 酒井羊一

ファッションブランドを手がけていたオーストラリア出身のCherylさん。夫のTomoyaさんともともと東京に住んでいた。日々の喧騒からしばらく離れるデトックス目的の全国旅行中にたまたま立ち寄った淡路島で見つけた古民家を10万円で購入。10年間空き家のまま傷みの激しい民家を民宿として形を変えていく。「99.9%の人がこんなの買ってどうするのか?と懐疑的でした」(Cherylさん)

縁もゆかりもなかったが、1ヶ月後には淡路島にふたりで移住を決心。ファッションブランドを続けながら、新たな生活を始める。もともとものづくりが好きだったふたりは、マンション暮らしをしながら、あちこち傷んで大規模な改修が必要だった空き家のリノベーションを決心。リフォーム会社に見積もりを取ると1000万円以上もかかることが判明し、セルフリノベーションに取り組むことに。「2018年ごろからリノベーションに取り組み、近所の大工さんにノウハウを教えてもらいながら、苦労して自分で調べたりしながら、2020年3月にようやく完成させました」(Tomoyaさん)

当時は仕事も辞めており、バイトをしながら生活をしていたが、来月の生活費もままならない状態。民宿をどう活用しようか迷っていた時に、Cherylさんのお父さんから「Airbnbしてみれば?」と提案され、始めてみることに。「絶対、お客さんなんか入ることはないだろうと半信半疑で、翌日の朝、アプリを開くと予約が2件も入っていた。「Cheryl、大変!見て!予約入ってるよ!」と凄く興奮したのをとても覚えています。(Tomoyaさん)その後はすぐにコンスタントに予約が入り、昨年の10月までほぼ満室状態が続いた。

ファッションブランドを辞めた後は、アルバイトをしながら生活していたが、今はAirbnbの運営で生活ができている状態だという。昨年始めたAirbnbでのホストが楽しく、実は今、山の中にある別の空き家のセルフリノーベーションを考えており、1年後にそこを民宿としてオープンさせる予定。「お客さんが何が欲しいかが少しずつわかってきたので、今度はお客さんに満足してもらうために作りたい。」という。最初は、人と接するのが大変苦手だったというおふたりだが、「今はお客さんのために、何をどうしたらもっと喜ばれるか、という視点で考えるのが楽しい」(Cherylさん)

「誰も見向きもしない、傷んだ空き家を宝物に変えたいという思いがある。もともとファッションブランドを持っていた時もそのような思いで洋服を作っていたのです。だから、ロケーションに頼るのではなく、民宿という形で自分達の作品を作りながら、ずっと残るものを作っていきたい」(Tomoyaさん)「毎年、人生が変わっていく。中には私たちのリスティングで、プロポーズをしたゲストもいて、また結婚した後に泊まりに来てくれる予定です」(Cherylさん)

ゲストルームに置いてあるノートには、ゲストの様々な思い出が綴られていく。淡路島の小さな町で、自分達のライフスタイルのあった新たな夢を叶えていくカップルの次の展開が楽しみだ。

リノベーション前
リノベーション後

Case 2:

東京と千葉での二拠点生活を実現するビジネスパーソン。週末は大切な人たちとBBQ!ゆっくりと過ごすライフスタイルを提供したい

Tetsuさん(千葉県、一宮市)

海 徒歩3分!! 新築VILLAウッドデッキ

海まで徒歩3分。サーフィンのオリンピック会場へも車で5分ぐらいのところに位置するリスティング。もともと海外暮らしが長く、週末はBBQをして大切な人たちとゆっくり過ごすライフスタイルを送っていたTetsuさん。「東京の人にもそういったライフスタイルを過ごしてもらいたいとAirbnb専用に新築を建てました」(Tetsuさん)

自身は、都内に住みながら、サーフィン好きが高じて一宮に建てた別荘で週末を過ごしている。平日は東京で家族と暮らし仕事をしながら、週末は、サーフィンや海水浴、BBQを楽しむ二拠点生活を送る。「今は、娘もサーフィンをするようになり、週末は一宮でゆっくり過ごしています」(Tetsuさん)

昨年の12月からAirbnbに登録を始める。「Airbnbの登録は思ったより簡単でした。徐々に予約も入り始め、3月や5月は予約も好調でした。サーファー向けに作った家でしたが、実際は学生さんや会社員、カップルなどが多いです。レビューのない初めてのゲストもいますが、事前にチャットでやりとりをして、人となりをインタビューしています。みなさん良いお客さんばかりです」(Tetsuさん)

「私自身、バリのヴィラを友人家族と借りて過ごすのが好きだったので、今回建てた家も、リビングとダイニングを一つの空間にしたり、外を見渡せるデッキを作ったりと海外風のデザインを意識しています」(Tetsuさん)

Airbnbでのお客様とのやりとりなど、Tetsuさんが担当されているという。「1番、こだわっているのは掃除です。初めは自分でやってみましたが、今は最高のクリーニングチームが担当しています。お客様からコメントをいただきながら、日々、改善を心がけています」(Tetsuさん)

「コロナを経て、みんな遊び方も変わっていると思うんです。大切な人とゆっくり過ごしてほしいですね。今後の抱負は、庭を手入れしてトロピカルな雰囲気にしたい。さらにプール付きなどもっとハイグレードなAirbnbも予定してます。芝生の張り替えなどが楽しくて、妻には時間を使い過ぎだと怒られることもあります。(Tetsuさん)

「まずは、自分が楽しいのが何より」生き生きと二拠点生活の醍醐味を語るTestsuさんの笑顔は、黄金色に輝いていた。

バリのヴィラを意識したインテリア
リビングとアウトドアの空間がつながるデザイン

Case 3

地元の足利市にUターンした若手グラフィックデザイナー。地方と都市、そして、世界とのコミュニティハブになれる場所へ。

Ritsukiさん(栃木県、足利市)

猫がいる路地裏ゲストハウス

栃木県、足利市出身のRitsukiさん。都内に住んで就職した後は、ワーキングホリデーの制度を活用して1年間、ニュージーランドで過ごした。「海外でエアビーを何度も利用し、ホストさんとの本当に忘れられない素晴らしい交流をした経験から、まだ会ったことのない誰かが繋がり、新しい発見や異文化交流ができる場づくりがしたいなと思い、古民家だった現在の場所を地元で紹介してもらいました。もともとAirbnbについて詳しかった建築家の大家さんから古民家を賃貸し、住宅宿泊事業法の手続きやAirbnbの登録などは自分でしました」(Ritsukiさん)

築50年のステーキハウスだった古民家を、約1年かけて改修。一階は、起業をしたい人へのトライアルショップや多目的スペースとして貸し出し、二階を自分のための居住スペース兼グラフィックデザイナーとして仕事をするワークスペースとして活用しながら、二部屋をゲストルームとして貸し出している。

2020年の6月にオープンしてから、東京から里帰りをした友人や、地域の方々や県外からのゲストが利用してくれています。「足利は、これまで数々の有名な映画やドラマなどのロケ地としても人気なので、県外のお客様が泊まりに来ることも。家に帰ってきたみたいで、くつろいで過ごせたと言ってくれるお客様もいるんです。また地域の方も普段は家で過ごすことの多い時期ですが、家具とインテリアのテイストが海外にあるシェアハウスみたいと、近場でも旅行気分を味わってくれたりしています。街の雰囲気やこの地域に住む人の雰囲気が気に入ってくれて、移住も考えたいと言ってくれたゲストもいるんです」(Ritsukiさん)

目の前にあるモーニングを提供するカフェやホテルの中のレストラン、Ritsukiさんがお勧めする地元のスポットなどを興味のあるゲストには紹介している。

「コミュニケーション能力があり、気づき、ホスピタリティーのある方、お客さんと一緒に楽しめる方でコミュニケーションを楽しみにしている方には、ぜひ、Airbnbホストをお勧めしたいですね」(Ritsukiさん)

多くは望まないと話しながらも、「英語を学んでいたので、ゆくゆくは、海外の方をアテンドしてみたいですね。まだ手が回っていない場所の改修工事や、宿泊プランも充実させていきたい」と看板猫のプチコちゃんと一緒に今後の夢を語ってくれた。

改装前のベッドルーム
改装後のベッドルーム
改装後のリビングルーム