旅はいつだってアイデアの宝庫。今回は、ニューヨークからやってきたゲストが、旅先の日本、大阪で出会った人たちと成し遂げたコラボレーションのストーリーを紹介します。
そのコラボレーションでは、大阪にある長屋を利用したAirbnbのリスティングが、インテリアデザイナーのベロニカさんと「紙すき体験」ホストのミワコさん、そしてお部屋のホストのアキヒロさんの手によって、日本の伝統的な和紙とモダンなデザインを融合させた、素敵なお部屋に生まれ変わりました。
一人旅好きのベロニカさんは、アジア各国を旅する中で、この春大阪を訪れました。そこで、ミワコさんの開催する、Airbnbの「紙すき体験」に参加しました。
ベロニカさんは旅先の文化体験ついて、次のように話しています。
「ある国の文化を学び、味わうためには、その伝統や芸術を理解するのが一番だと思います。日本における和紙のものづくりは、歴史文化において重要な位置を占めており、この体験に参加することで、気品ある卓越した和紙の素材について詳細に学び、日本の歴史や文化を文字どおり『肌で感じる』ことができました。」
また、実際に体験した紙すきについては以下のように話しました。
「体験は思っていたよりずっと豊かでユニークなものでした。紙すきの歴史を学び、紙作りも実際に行いましたが、それは見た目ほど簡単ではありませんでした。最近、人気が衰えてきているこの伝統を受け継いでいくためのすばらしい取り組みに、外国人として貢献できたと感じています。本当に特別な体験でした。」
元客室乗務員のミワコさんは、現在は実家の和紙問屋を継ぎ、今年の2月からはAirbnbで「紙すき体験」のホストを始めました。紙離れが進む中で、和紙のよさを多くの人に知ってもらいたい、日本の伝統文化として外国からのゲストにもPRしていきたいと思ったのが、紙すき体験をはじめたきっかけだと言います。
そんなミワコさんが、デザイナーのベロニカさんと出会うことで、「和紙をインテリアに使うと面白い」と意気投合。今回のリノベーションプランがはじまりました。
「体験にやってきたベロニカは、和紙に非常に興味を持ち、和紙をインテリアに使うとおもしろいという話が盛り上がり、Facebookで繋がりました。その後、Airbnbの宿泊施設のインテリアに、和紙を使ったらどうだろうと思い、知り合いでホームホストのアキヒロさんに連絡したところ、ある長屋の改装を快諾していただきました。ベロニカに連絡すると、アジア各国を旅行中にもかかわらず、バーチャル改装プランをメールしてきてくれました。その後も、スカイプでミーティングを重ね、デザインを具現化し、和紙のパネルや照明、壁紙を準備しました。」
また、このエキサイティングな企画について、次のように付け加えました。
「一番おもしろかったのは、紙すき体験がきっかけで、今まで知らなかった人たちと繋がり、リノベーションという一つのプランを完成したことです。また、海外のインテリアデザイナーの改装プランが、日本人の感覚と違うのもおもしろかったです。和紙を使うことによって、日本らしさが表現され、ベロニカのデザインによって洋風テイストがミックスされ、とてもユニークな形にできたと思います。」
自身も大の旅好きで、大阪でホームホストを行うアキヒロさんは、今回の提案を聞いてとてもワクワクするプロジェクトだな、と快諾したそう。スカイプでの国境を越えたミーティングにも参加し、チーム一丸となり今回のコラボレーションを成功に導きました。
出来上がったお部屋についてアキヒロさんは次のように感想を述べています。
「子供心に返って、楽しみながら見守っていました。DIYで仕上げているので、多少の素人感もありますが、そこにもまたストーリーを感じて頂けるような、思い入れのある形になりました。日本を旅するベロニカが、旅を仕事にしていた元キャビンアテンドのミワコさんの提案で和紙を用いて、旅が好きなオーナーの私の宿泊施設をリノベーションする。そんな旅にまつわるストーリーを感じてもらいたいです。」
今回のコラボレーションによって、日本にある昔ながらの長屋の面影や生活感を残しながらも、モダンな洋風の改修を施すことで、明るくスタイリッシュな印象のお部屋に生まれ変わりました。ベロニカさんとミワコさんは、このコラボレーションを通した得た体験を次のように話しています。
「コラボレーションのプロセスはこれ以上ないほど楽しいものでした。和紙への興味と熱意を共有できたことが何よりで、素晴らしい人たちと一緒にデザインの案を形にすることができました。地域の伝統的な技法を使う職人の方々と、国境を越えたアプローチにより、現代的な和紙のデザイン案に取り組むことができたことは非常に充実した体験でした。成果には非常に満足しています。(ベロニカ)」
「人とつながっていくこと、その国の文化を外から見るだけでなく、実際に触れてやってみることが、何物にも替えがたい思い出になるということを今後も体験に参加するゲストに伝えていきたいと思います。私自身も体験ホストを始めて、こんなに短期間で素晴らしい経験が���きたことに感謝しています。ホストを始めるまでは、海外の人たちとこんなにも”共有感”が生まれるとは思いませんでした。これを出発点として、もっと人がつながり、文化が繋がるお手伝いができれば嬉しいです。(ミワコ)」