京都造形芸術大学とAirbnb、寄附講座の成果に基づく 3つのパイロットプロジェクトをそれぞれ今年開始予定

学校法人瓜生山学園 京都造形芸術大学(住所:京都市左京区北白川瓜生山2-116 学長 尾池 和夫 以下、京都造形芸術大学)とAirbnb Japan株式会社(以下、Airbnb)は、2019年度の寄附講座において学生たちとの10ヶ月にわたって行ったディスカッションの成果をAirbnbがビジネスとして検討する価値が十分あると判断した3つのプロジェクトについて発表します。なお、厳選した同プロジェクトはそれぞれ試験サービスとして2020年12月末までに開始する予定です。

京都造形芸術大学でのAirbnbの寄付講座は、地域社会から派生した芸術活動を支え、シェアリングエコノミーを通じてコミュニティと共に成長する考えを表明、2018年に包括的な連携に関する協定書を締結したことで開始されました。情報デザイン学科クロステックデザインコースにおいて開講された同講座では、「次世代のホームシェアリング」をテーマとし、世界中にある唯一無二で感動的な場所を提供するホストと、その土地でしか得られない貴重な体験を探求する旅行者をつなぐための新たなサービスを、新しいテクノロジーとデザイン教育を学ぶ学生たちがAirbnb担当者と協働しながら構築することを目指しました。Airbnbにとって京都造形芸術大学との連携は国内大学との初の連携であり、寄附講座の成果として試験的プロジェクト開始まで結びついたことは国内ホームシェアリング市場に大きく寄与する初の試みになると確信しています。

講義における同大学学生の討議の結果、考案された3つのサービス企画案は以下の通りです。

1.思い出を地図上に残すサービス ~ Runinto ~ 

旅をしていると、素敵な人と出会ったり、とても素敵な建物の装飾や意匠や地元の人が通う美味しいレストランを見つけたり、あるいは緑の綺麗な空間や見晴らしの良い場所を、思いがけず発見することがあります。しかしこうした人・もの・空間はガイドブックや地図アプリに載せられていない場合がほとんどです。こうした旅先でふと出会う(=Run into)素敵な偶然を、目に見えるものも見えないものもログとしてマップ上に残し、他の旅人がそこを訪れるようにできるサービス「ルニント」が提案されました。

2.ベビーシッターサービス ~ Baby ~

ベビーシッターサービスはAirbnbに宿泊したゲストで子どもを預けたい人がいた時、ホストを経由してベビーシッターを紹介するというサービスです。単に子どもを預けるだけではなく、教育的なコンテンツにするということが提案されました。

3.朝食を提供するサービス ~Breaky~

旅行中にはあまり朝食を食べない旅行者を対象に、自分に合った朝食を探す人と朝食を提供したい現地の人同士をつなぐことができないかという視点で考え出されたサービスです。Breakyでは京都市内の若手料理人や主婦が朝食を提供したり、宿泊者と料理教室を開催したりするという形のサービスが考えられています。

今後の展開予定について

講義の後半では12月、1月の2回にわたって学生のサービス計画を実際の会社にプレゼンしました。その協議の結果、以下のような形で、学生のサービス提案の実現可能性を検証するためのプロジェクトを開始することを決定しました。

  1. Runintoのサービスについては、京都造形芸術大学の学生が中心となって、株式会社Stroly、株式会社電通、Airbnbの協力のもと、Strolyが提供する地図プラットフォームを活用した東京・京都のRuninto Mapを作成するパイロットを2020年3月~9月の期間で行う予定です。
  2. Babyのサービスについては、株式会社パソナフォスターがAirbnbホスト向けのベビーシッターサービスのパイロットを東京・大阪・京都で2020年度内に実施します。
  3. Breakyのサービスについては、株式会社オレンジ・アンド・パートナーズが、京都市内に協業パートナーが展開予定のオープンキッチンをAirbnbのゲストに開放する取り組みを2020年度内に開始する予定です。

今回のパイロットプロジェクトの開始にあたり、クロステックデザインコースを担当する京都造形芸術大学教授の軽部政治は、「Airbnbの根本にある宿泊や観光の哲学を、学生達の感性で解釈し、人との出会いや想い、時間の使い方などを、旅を演出するコンテンツに昇華させる為一年掛けて学生達が考えてきた企画が、主旨に賛同し同じ方向のサービスを模索する企業の方々のご協力により実現に向けて進み始めました。この取り組みにより、日本の観光やライフスタイルに多少でも変化が生まれる事を願っています。」と述べています。

またAirbnb Japan株式会社執行役員で本寄附講座を担当した長田英知は、「京都造形芸術大学の生徒の皆さんはとても真摯に課題に向き合って頂きました。そして1年という限られた期間の中で、私たちも驚くようなよく練られた企画を出して頂き、企業とのパイロットプログラムを開始できることはとても大きな成果であると考えています。」と述べています。

<Airbnbと京都造形芸術大学が結んでいる包括協定について>

大きな柱は二つ。寄付講座を開設し「次世代のホームシェアリング」について学生とエアビーの担当者が協働して仕組みを構築することと、学生による作品をエアビーの宿泊施設で鑑賞できる仕組みをつくることです。学生の柔軟で多様なアイデアを生かし、民泊業にとどまらない新たなサービスの展開や、京都ならではの伝統・秘蔵文化の体験の提供を目指すとともに、宿泊者が地域の文化や芸術に触れる機会を提供することを目的としています。2018年12月に日本の大学として初めてAirbnbと包括協定を締結しました。

<学校法人瓜生山学園 京都造形芸術大学について>

2021年に開学30周年を迎える総合芸術大学。1998年には、4年制の芸術大学では初めての通信教育課程を開設しました。現在、18歳から94歳が学ぶ日本最大規模の芸術大学です。開学の哲学として「京都文藝復興~藝術を学ぶことを通じて、人間とは何か、社会とは何かを考える学生を輩出する」「藝術立国~藝術を学んだ学生たちの力で社会のより良い変革に寄与する」ことを掲げ、多地域・多世代に向けた芸術教育を推進しています。教育方針の一つとして「芸術教育の社会実装」を掲げており、企業や自治体、海外の大学と連携した様々な課題解決プロジェクトを推進。文部科学省、経済産業省の各種事業にも採択されるなど、その活動に注目が集まっています。2019年4月には、附属の通信制高等学校と認可保育所の開設し、「人生100年時代」の学習モデルの構築を推進しています。

<クロステックデザインコースについて>

京都造形芸術大学 情報デザイン学科クロステックデザインコースでは、さまざまな分野・領域を横断したテクノロジーに、デザインをクロスさせることによって、日常生活におけるサービスや、ビジネスシーンにおいてイノベーションを起こす人材を育てています。メルカリ、シャープといった日本を代表する企業との連携を通じ、研究成果の実用化を目指しています。